色温度の使い方
色温度と言われると一般的には、『照明器具から発せられる光の色』や『日中の太陽光の色味』
『印刷などの品質管理の』『カメラ・写真・映像のホワイトバランス』など様々業界で使用され
ています。色温度の概念は、光源が発する光の色を、物理的な温度(単位: ケルビン = K)で表したものです。
これは、黒体放射(完全に熱放射する理想的な物体)の温度が上昇すると色が変化する現象に
基づきます。
例えば、鉄を熱すると、最初は赤くなり、次第に黄色や白色へ変化するのと同じように、光源の色
も温度によって変わるため、これを数値化したものが「色温度」です。


照明における色温度については、単に演出照明の様に雰囲気を作るための色温度では、ありません。
光の色温度は、起源から自然光と人間の活動と深く結びついています。
太陽の動きと共に生活していた頃から人は、太陽が昇り、太陽が沈みはじめる頃に休息に入ります。
『明るいから働き、暗くなるから休む』あたりまえの様ですが、この法則に従い、人は長い年月を
過ごしてきた事で体の中に一定のリズム(その光環境になると体が同調)を維持しています。
明るい時、暗い時の太陽の状態も見てみる『昼の光』は、人の真上から白味をおびて照度が高く。
『夕方の光』は、目線に近い低い位置から、赤味をおびて照度も低くなります。
その上で色温度は、人の生活と密接に関係しています。
このような光環境変化を取り入れたのが、照明メーカーで販売している調色調光を使ったサーカ
ディアンリズムの調光システムになります。
本来は、色温度の他に光の高さも関係してきますが、ここでは、色温度について解説したいと
思います。
それぞれの色温度の分類について
日常の中で接する色温度につぃてまとめるとこのようなになります


※ ECカレント ホームページから「色温度(ケルビン)とはなんですか?」から参照
上記の日常に接する色温度を自然光とLEDなどの人工光を分けると
自然光の色温度区分

人工光の色温度区分

このように自然光の時間帯ごとの色温度に対し、人工光の色温度も合わせた形で色温度を設定されている事が
わかります。
※ 演色性(Ra)も関連しますが、生活環境に使用されるLED光源は、Ra92~97と自然光に近い演色性からも
近年のLED光源は自然光に近い光を再現している事から自然光と相違はないと考えます。
そのうえでは、色温度計画をおこなう際のシークエンスを考慮した色温度設定においては、使用目的・条件
に応じて適切な流れを選ぶことが大切です。
それでは、JIS規格の色温度である
● 電球色:2600Kー3250K
● 温白色:3250Kー3800K
● 白色:3800Kー4500K
● 昼白色:4600Kー5500K
● 昼光色:5700Kー7100K
に対しそれぞれの色温度ごとに人への行動に対し、どのような影響を及ぼすかをまとめてました。
色温度による人の行動変化につぃて
ここでは、色温度がどのように人へ影響・効果をもたらすかをまとめました。
■ 色温度と脳の働きの関係
光の色温度は人間の心理や集中力に影響を与える とされています。
大きく2つの色温度に分けて特徴をまとめると
① 低色温度(暖色:2000K~3500K)→ リラックス効果があり、創造性を高める傾向がある
・ロウソクや電球のような暖色の光は、リラックスした雰囲気を作り、発想を広げるのに適している。
・夜のバーやカフェのような落ち着いた照明は、雑念を取り除き、直感的なアイデアを生みやすい。
・創造的なアイデアを考えたり、ブレインストーミングをするのに向いている。
② 高色温度(寒色:5000K~10000K)→ 集中力や論理的思考を高める
・昼白色~昼光色(オフィスや学校の照明)の光は、覚醒レベルを上げて論理的な思考を促進する。
・分析や計算、作業効率を上げるのに適しているが、発想力が必要な場面では硬直的になりやすい。
以上の傾向があるとの事です。
では、このように色温度の使いわけすると場合
🌟 アイデアを出したい・発想を広げたい時 → 低色温度(2500K~3500K)の
暖色系の照明
色温度が低いと創造的な発想がしやすい理由としては、
● 生理学的要因
・副交感神経が優位になり、リラックス状態が創造性を高める。
・メラトニンの分泌が促され、リラックスしながら発想を広げやすくなる。
・ドーパミンの働きが活発になり、「ひらめき」が生まれやすい。
● 心理的要因
・暖色系の光は「安心感」を生み、自由な発想を促進する。
・緊張感が減り、間違いを恐れずにアイデアを出しやすくなる。
● 環境要因
・低色温度の照明は、クリエイティブな環境に多く採用されている。
・研究でも、発散的思考(アイデアを広げる能力)が向上することが示唆されています。


💡 集中して作業をしたい時 → 中~高色温度(4000K~6500K)の 白色
~青白い光
色温度が高いと集中力や論理的思考を高める理由としては、
● 生理的影響
・交感神経が優位になり、覚醒レベルが高まる
・メラトニン分泌が抑制され、眠気が減る
・コルチゾール(ストレスホルモン)が増えやすい
● 心理的影響
・論理的思考や分析能力が向上する
・集中力が高まるが、発想力は低下しやすい
・緊張感が増し、リラックスしにくい
● 環境要因
・オフィス、学校、病院、工場などでよく使われる
・長時間浴びるとストレスや疲労が蓄積しやすい
まとめると
暖色の光(低色温度)はリラックス効果があり、創造的な発想を促す
寒色の光(高色温度)は集中力や論理的思考を高める
クリエイティブな作業には 2500K~3500K の暖色系照明が適している
とされています。
又、中間色の暖色系傾向の温白色や寒色系傾向の白色の場合は、
温白色の場合 リラックスや落ち着きが求められる環境に最適です。夜間や寝室で使うと、
メラトニンの分泌を妨げず、睡眠に向けた準備ができ、目の疲れも軽減します。家庭的で暖かみ
のある空間を作り出し、リラックスした気分を高めますが、集中力が必要な作業にはやや効果が
薄いと考えられます。
白色の場合 日中の活動をサポートし、覚醒状態や集中力を保ちやすくしますが、リラックス感
を得るためには適切な色温度を選ぶことが大切です。作業や勉強には適しているものの、リラッ
クスや睡眠前には、少し暖かみのある光(低色温度)がより効果的です。
以上から 近年の商談スペースを含めたオフィス環境もこの様か傾向があるのは、この様な意図
があると言えます。

